戦災樹木とは

原則として、
「第二次世界大戦中の空襲で被災した戦災エリアにおいて、
苛烈な戦火の傷痕を残す樹木であり、外観からその損傷状態を確認することができるもの」 としています。

また、調査時点では存在していても、その後の追跡調査などで確認した際に、
所有者の意向などの理由により伐採されてしまうこともあります。
その際は、戦災樹木として存在していたことの記録を残し、
今後の所有者の意識や土地利用の変化を把握するための貴重な情報として扱うこととしています。


戦災樹木被爆樹木被災樹木との関係*

所在地特有の歴史的事象により損傷を受けた樹木を被災樹木とします。
関東大震災(1923年)や明治期(1869年頃)から昭和初期(1934年頃)まで頻発していた
大規模な都市火災などにより損傷を残す樹木が例としてあげられます。

被災樹木の中で、前述のとおり、第二次世界大戦の米軍の攻撃による損傷を有する樹木が戦災樹木です。

ただし、今日までの歴史のなかで、世界で唯一、原子爆弾が投下されたことにより被災した広島および長崎の被爆樹木は、
その特異性から同じ戦災樹木のなかでも独立して捉えていくこととしています。


戦災樹木と被爆樹木、被災樹木の関係(無断転載禁止)

*以下は、博士論文「戦災樹木の遺産意義と保全活用の課題」、根岸尚代 (2019.06提出・千葉大学) より抜粋